「丸高万柳」(5)

エッセイ

森さんとの思い出を書いた

柳子さんが泊っていくと話すと、丸川さんはいつも「襲われたりしないでよ」とからかうので本人に話すと、「そういうのは初対面で会ったとき、お互いにピンとくるので、初めに何もなかったら、そういう興味がないのだから安心おし」と、私としては喜んでいいのか悲しんでいいのかわからないことを言われた。

森さんと付き合わなくなってから20年ほど過ぎたとき、私は彼女の死を知った。

2ケ月に1度送られてくる「文芸家協会ニュース」に森さんの訃報が載っていたのだ。 

知っている人の訃報を聞くのはいつの場合もショックだが、森さんの場合は私より6歳も年下だっただけに、信じられない思いで、黒い傍線を引かれた名前を見つめた。

病気は何だったのだろう。どんな亡くなり方をしたのだろう。

普通なら共通の知り合いを通じて聞けるのだが、森さんに限ってはそういう知り合いも思いつかなかった。

私は自分が出している同人誌にせめてもとの思いで、森さんとの思い出を書いた。それを読んだ「別冊文藝春秋」の編集長をしていた高橋一清さんが読み、森さんの思い出を百枚くらいで書かせてくれた。

高橋一清さんは文芸春秋に入社して初めて担当したのが森さんで特別な思い入れがあったようだった。

その時書いた「『雪女』伝説 謎の作家 森万紀子の死」は割に好評で、他の出版社から書き足して単行本にしないかという話が来た。

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