シナリオ研究生の頃(7)

エッセイ

最後まで協力してくれていた友人も去っていく

私のシナリオでは「青空保育園」を手伝っていた人たちは、みんなそれぞれの事情や、仲間内の葛藤があって辞めていき、最後まで協力してくれていた友人も去っていく。

そうなると意地でもやめられなくなり、一人で続けていく。女子大を卒業してからも頑張っている彼女を応援する人も現れ、ついに区役所が動き出し、その地区に保育園を作ることになる。

その開園式の日、かつて仲違いして去っていった友人たちが、お祝いに駆けつける。そんなストーリーで、自分でもうまくまとまった感じがしていた。

それに何より一つのことを成し遂げるのは、善意とか世の中の役に立ちたいなどという気持ちではなく、意地とか執念のようなものだという私の考えを、はっきり出せたことにも満足していた。

もう一本のほうはミステリー物で江戸川乱歩賞に応募しようと書いていた小説を、シナリオに書き直したものである。

映画の世界に知った人が一人もいない私は、決局読んでもらう先生の欄を空欄のまま提出した。それがかえって良かったのかもしれない。

一つは全盛期を過ぎたシナリオ作家のところへ、もう一つは若手の映画評論家のところへ回っていた。その先生たちのところへは回ってくる作品の数は少なく、丁寧に読んでもらえ、点数も甘かったのかもしれない。2本ともAの評価をつけてもらって返ってきた

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