「丸高万柳」(4)

エッセイ

三人に絶交状を送り付けてきた

 こうしてしばらく「4人の会」というか付き合いは続いていたが、そのうち次々新しい新人が現れ、私たちの存在はかすんでしまった。

毎回芥川賞の候補作が発表される時期になると週刊誌に名前が出ていたのがやがて出なくなり、知らない名前が並ぶようになった。

 そんな焦りもあったのか森さんは「一人で書くことに専念したいから」と三人に絶交状を送り付けてきた。

 わざわざ絶交状など送らなくても自然に遠ざかればよいものを、いかにも森さんらしいやり方だった。世間知らずのせいもあったし、自分を勇気づけるためにわざと極端な行動をとっていたのだろう。

 私たちのほうもこんな気難しい人との付き合うのは大変だから、関係を修復しようとはしなかった。

 丸川さんと私は二人とも一人暮らしだから、毎晩のように電話で話していた。時には1時間余りも話すことがあった。別に話題があって話すのではなく、夕食に何を食べたかなど話していたのだ。

しかしさすが都心に住んでいるだけあって、丸川さんのほうが情報通で、出版社の動向などいろいろ知らせてくれた。  そのほかに山崎柳子さんが時折訪ねてきた。時には泊っていくこともあった。彼女はレスビアンとしても有名で、いつも若い女の子たちに追っかけられていた。

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