最後まで諦めない

エッセイ

努力の積み重ねが何かを生まないとも限らない

ルノワールが晩年を過ごした南仏カーニュのコレット荘。睡蓮の池で有名なジヴェルニーのモネの家。いずれもツアーで訪れたことのある懐かしい土地である。

オリーブ林に囲まれたコレット荘で、晩年のルノワールは毎朝起きると、リュウマチで動かなくなった指に、包帯で絵筆を巻きつけてもらい、あの鮮やかな色彩の豊満な女性像を描き続けた。

一方「光の画家」と言われたモネは晩年視力を失い、それでも睡蓮の池を描き続け、心眼で見たとしか言いようのない、鮮烈な色彩の睡蓮の池の絵を多数残している。

そういう話は以前から知っていたが、自分が老年になり体のあちこちに故障が出てくると身につまされ、その辛さや絶望感まで感じられるような気がする。

それらを乗り越えて描き続けたのは、絵に対する執念としか言いようがないが、それだけ仕事に打ち込めるのは羨ましいし、こちらまで勇気や、生きていく力を与えられる。

巨匠たちとは違って、とるに足りないような平凡な人生も、小さな仕事も、最後まで諦めないで挑戦していくよりほかはないのではないかと思う。

諦めて何もしないでいても、残り少ない月日は同じように消えていく。それならまだ何かしているほうが気がまぎれるし、努力の積み重ねが何かを生まないとも限らないのだ。

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