スポーツ番組を見る

エッセイ

0.001秒を争う緊張した表情や動きに、最高のドラマと美とスリルを感じる

 最近テレビで一番よく見るのはスポーツ番組である。マラソンでもあろうものなら、初めから終わりまでテレビの前に座り込んでいる。

女子ゴルフは毎週見ているし、以前はテニスの試合なども深夜にかかわらず熱心に見ていた。ナブラチェロワやグラフの時代である。グラフ以後は応援したい選手はいないので、ゴルフに変わった。だから澁野日向子が全英オープンで優勝していた時も見ていて、それ以来のファンである。

 若いころは自分がしないせいもあってスポーツには全然興味がなかった。人より早く走ったり高く飛べるといっても、二倍も三倍も速く走れるわけではないし、何の役に立つだろうと思っていた。

 その頃は芝居でもせりふが主の新劇ファンで、自分でも書こうと、理屈っぽい、意味ありげなせりふを書き散らしていた。

 が、年齢を重ねるにつれ言葉がうっとおしくなり、様式美で見せる歌舞伎のほうがよくなり、さらに音楽とか踊りとか言葉のないもののほうが陶酔できるようになった。

その延長線で0.001秒を争う緊張した表情や動きに、最高のドラマと美とスリルを感じる。

 言葉を使う仕事をしているのに、これでは困るような気がしないでもないが、今の世の中は言葉が氾濫しすぎているような気がするのである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました