酔い止めの薬1

旅行

アメリカ西海岸のツアーに出かける前に、添乗員が挨拶をかねて電話してきて、「遊覧飛行機が揺れることもありますから、酔い止めの薬を持ってきてください」と言った。

「乗り物には強いほうだから」と言いかける私に「今まで酔ったことがなくても、その日の体調によって酔うこともありますから、お願いします」と言う。

そこまで言われれば私も承諾しないわけにはいかなくて、薬局へ行って薬を買った。

その旅行には旅行友達の佐藤さんと内尾さんも参加していた。彼女たちに薬を持ってきたかと聞くと、彼女たちにも添乗員がお願いしたはずなのに、「なんだかそんなことを言っていたわね」というくらいの反応で、「揺れると言っても、ナスカの地上絵に比べれば大したことないでしょう」と言った。

そういえば私も彼女たちとナスカの地上絵を見に行き、三人乗りの大分がたがきているおんぼろ機で、一時間あまり飛び、地上絵の上では写真が撮れるように、右側の窓を下にして降下し、次は反対側の窓が下になるように宙返りし、それを数回も繰り返したのだ。

酔ってふらふらしながら飛行機から降りてくる人もいたが、私たち三人は何ともなかったのだ。

遊覧飛行機に乗る前、添乗員の言うままに、せっかく持ってきたのだからと私は薬を飲み、彼女たちにも勧めたが、あっさり断られた。(続く)

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