「南米大陸18日間」のツアーで、アマゾン河でピラニア釣りをした後、人が一人くらい乗れる大きな葉の蓮池を見に、熱帯雨林のジャングルに上陸した。
上陸地点の近くで、現地人が手作りの品を売っていた。ツアー客の中にも買い物好きの人がいて、早速商売が始まる。
女たちが客と値段の交渉をしている間、男たちは長い竿で頭上の木から青い実を叩き落とし、子供たちは木に登り、実をちぎっては落とす。マンゴーだそうで、買い物には興味がなく所在なさそうに立っている私たちのところへ、持って来てくれる。
喜んで貰っている人もいたが、私は貰わなかった。もともとマンゴーは好きでなかった。種が大きくて食べるところは少ないし、美味しいとも思わなかった。
しかし熱心に勧めるのに貰わないのも悪い気がして、一個だけ貰ってバックに入れた。
夜、ホテルの部屋で思い出し、青い実を取り出し、ナイフで皮を剝いた。美味しくなければそのまま捨てるつもりだったが、一切れ口に入れてみて驚いた。濃厚な舌ざわりで、甘みもたっぷりある。
もっと貰っておけばよかったと後悔したが、マンゴーならいくらでも売っている。翌日から私はマンゴーの虜になり、ブラジルにいる間は毎日のように食べていた。
今でもその味が忘れられないが、もう一度食べに行くには、ブラジルはあまりにも遠すぎる。