ウイーンであやうく迷子に(3)

旅行

若い女性なら英語がわかるのではないか

 若い女性なら英語がわかるのではないか。私はそう思いつき若い女性に次々声をかけてみた。行き先もわからない電車に乗っているのである。早く何とかしなければならなかった。

3人目でやっと英語がわかる人を見つけ、この電車は「オペラ座前」に行くのかと聞くと「行かない」と言い、そこへ行くにはどこで降りて、どこ行きに乗りと教えてくれようとするが、駅の名前など聞いても覚えられないし、地図もガイドブックも持ってないのだから、どうしようもない。

知らない土地で迷ったらタクシーに乗ることにしていたから、タクシーのことを聞くと、「ほかの駅のことは知らないが、自分が下りる駅にはタクシースタンドがある」と言う。「あと3駅目だ」というので、そこまで行くことにした。

しかし郊外を走るようになると、駅と駅の間隔は遠くなり、次の駅になかなか着かない。私としては気が気でなかった。

 やっと彼女の降りる駅に来て一緒に降りた。彼女はタクシースタンドまで案内してくれた。 四,五台のタクシーが止まっていたが、最初の車の運転手は中東人らしく髭を生やした男だった。人種差別をするつもりはないが、この場合はせめて片言の英語くらい話せる愛想のいい運転手であって欲しかった。が、そんな贅沢なことは言えなかった。

(続きます)

コメント

タイトルとURLをコピーしました