「死と乙女」(1)

旅行

ツアーでウイーンに行ったとき、ベルベデーレ宮殿へ分離派の絵を見に行った

最近はインターネットで検索すれば、大抵のことがわかる。便利になったものである。それでこれまで疑問に思っていたことを思い出し、検索して楽しんでいる。

たとえば昔、と言っても二十年あまり前のことだが、ツアーでウイーンに行ったとき、ベルベデーレ宮殿へ分離派の絵を見に行ったことがある。

バロック建築の代表であるベルベデーレ宮殿や広大な庭園は、ウイーンの観光名所の一つで、午前中に見学していた。が、宮殿内にあるナショナルギャラリーは見なかったので、午後の自由時間に一人で出かけたのである。

泊まっているホリディインホテルの部屋に、クリムトの「接吻」や「ユディト」の複製が掛かっていて、その本物を見たかったのだ。クリムトの装飾的できらびやかな絵は、私の好みではなかったが、やはり本物はそれなりに迫力があった。隣の部屋はエゴン・シーレーで、名前は知っていたが、作品を見るのは初めてだった。露出過剰で思わず目をそむけたくなるような絵だが、さすが天才画家と言われただけあって、どこか人の心を引き付けてやまないところがあった。

ほかには誰もいなくて私は一人でゆっくり見て回り、次の部屋へ行こうとしたとき、小学校低学年くらいの女の子を二人連れた若い母親が入ってきた。三人とも身なりなどいかにも裕福そうな母子だった。

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