「赤毛のアン」の島2

旅行

親切を受けた方は心に深く残り、いつまでも忘れられない

「グリーンゲイブル」に住むことになったアンは、近所のダイアナと仲良くなり、学校へも通い始める。が、男の子に赤毛をからかわれると、石板で頭を殴ってケガをさせたり、間違えてダイアナにお酒を飲ませ、彼女の母親を激怒させたりするが、周囲の人たちに温かく見守られ成長していく物語である。

「グリーンゲイブル」は、いまは記念館になっていて、1階の入り口近くに作者モンゴメリゆかりの品が展示してあった。モンゴメリが使っていたタイプライターもあった。物書きの端くれの私としては、そのタイプライターの写真を撮っておきたかった。

ガラスケース越しだからうまく写るかどうかわからないが、カメラを取り出した。すると隅の椅子に腰かけていた女性が立ち上がった。撮影禁止だと止めに来るのかと思っていたら、彼女はガラスケースを開けてタイプライターを取り出し、写真を撮りやすいように置いてくれた。

そのさりげない心つかいがうれしくて、私にとっては忘れられない思い出になっている。

今はおそらく大勢の観光客が押し寄せ、どこでもそうであるように、「撮影禁止」になっているか、そうでなくても観光客の様子から察し、さりげなく手助けする心の余裕も、親切心もなくなっていても仕方がないことである。本人は何気なくし、もう忘れていることでも、親切を受けた方は心に深く残り、いつまでも忘れられないこともあるのである。

タイトルとURLをコピーしました