ムクドリたちの話(3)

ムクドリたちの話

みんな揃ってねぐらに帰るのでしょう。

秋が深まるにつれ銀杏並木は葉を落としていきます。それが気になって、まゆみは学校から帰るとすぐベランダに出て並木を眺めるのです。まだまだ半分ほどは残っていますが、そのうち裸木になってしまうでしょう。

そんなある日、何気なくベランダに出たまゆみは、いつもと違って騒々しい気配に驚きました。鳥の鳴き声らしいのですが、「ギャーギャー」というか「ギャォーギャォ」というか、「ギュルギュル」とか「ミュミュ」といっているようにも聞こえます。とにかくすごい鳴き声です。

何が起こったのだろう。あわてて辺りを見回しまわしました。騒ぎの原因はすぐわかりました。通りの向こう側の並木の二本目の木にムクドリが鈴なりに止まって、鳴き交わしているのです。

いつからそうなったのかわかりませんが、その銀杏の木がムクドリたちの集合場所になったようです。

多分ここで待ち合わせて、みんな揃ってねぐらに帰るのでしょう。見ていると次から次へ飛んできて止まるのです。

待ち合わせだけなら隣の木に止まってもよさそうなものなのに、そうはしないで、いい加減混みあって押すな押すなの状態になっている仲間たちの中に、割り込むようにして加わるのです。

そして甲高い声で鳴き交わしているのです。多分、今日あったことをみんなに報告し合っているのでしょう。


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