オーロラを見に(1)

オーロラを見に

私がオーロラを見にアラスカへ行ったのは、1999年の1月、71歳の時である。

私がオーロラを見にアラスカへ行ったのは、1999年の1月、71歳の時である。

今になって考えれば、何もオーロラなど見に行くことはなかったのだ。話に聞くか、テレビででも見れば十分だったはずである。何をあんなにがつがつしていたのだろう。

若い貴重な頃を戦中、戦後の貧しい中で過ごし、何一つ自分の思い通りにならなかった。そんな悔しさを取り返そうとしていたのかもしれない。そういう意識は女性のほうが強かったようで、そのときのオーロラツアーでも参加者16人のうち夫婦は1組で、そのご主人が唯一の男性だった。あとの15名は六十代、七十代の女性である。

シアトルまでの飛行機は満員で、そこで乗り換え、アンカレッジまで4時間。

海外旅行に行くようになった1990年代の初め、飛行機はシベリア上空を飛べなくて、ヨーロッパに向かう北回りはアンカレッジで乗り継ぎか、休憩をしていた。

その頃のアンカレッジ空港は、明るい照明に照らされた免税店が立ち並び、多くの人が行きかい、不夜城のように輝いていた。 そのうち飛行機は直航便になり、アンカレッジも往時の面影は消え、閑散とした地方の小空港になっていた。それでもアンカレッジで乗客はほとんど降り、あとはオーロラツアーの客だけになり、フェアバンクスまで1時間あまり、2時過ぎ到着した。

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